「首里劇場友の会」の方のご厚意により、現存する沖縄最古の映画館「首里劇場」の内覧会が不定期で開催されていたので行ってきました。
友の会の方より「ぜひ首里劇場について世の中に広めてほしい」と仰ってもらえましたので、ここで共有していきたいと思います。
首里劇場の内覧会の様子を写真に収めました
館長の魅力あふれるエントランス
長年ピンク映画専門だった首里劇場ですが、2021年5月より名画座を流すスタイルへ路線変更。
6月の上映作品は「グレン・ミラー物語」などの3本立ての予定でしたが、これらが首里劇場で上映されることは叶いませんでした。
館長手書きのポスター。「演」の字が間違っているのはご愛嬌。
こういうところも館長の魅力とガイドさんは仰ってました。
エントランスには館長の名言、首里劇場に訪れた様々な人達のサインやメッセージなど…。
館長の魅力と、首里劇場が愛されていた証に溢れていました。
こちらは受付の写真。館長が存命時には館長以外が入室することができなかった文字通り「未知の領域」です。
「たばこ」看板があることからも、受付でタバコを売っていたことがわかります。映画館での喫煙が日常だった時代の名残ですね。
さらに、ポスターの裏側には昭和63年の電話番号表が..。琉映本館、開南琉映など今は亡き映画館の文字が見えます。
館内へ入る
館内へ入ると観客席の向こう側に大きな舞台スクリーン。
戦後当時の広告看板
こちらは当時のままの広告看板。驚くべきことに住所が「首里市」になっています。
当時の那覇市が小禄村と首里市が合併して現在の姿になったのは1954年9月1日ですので約70年前のものだと分かりますね。
こちらは首里劇場の初代館長である金城田光さんが別で運営していた「教配ニュース館」の広告看板。国際通りにある大宝館(後の沖縄三越、現在ののれん街)の3階にあった映画館だそうです。
首里劇場の裏側にはカマドと風呂桶がある!?
舞台裏は立入禁止ですが、特別に許可をもらって見学することができました。
首里劇場の舞台裏には何があるんだろう?
期待しながら奥に進んでみると、なんとカマドがありました
このカマドは中部や北部などの遠方から出張で来る沖縄芝居巡業が食事を作るのに使っていました。
連日公演する場合はそのまま首里劇場のスクリーン裏に布団を並べて寝泊まりしていたそうです。
さらに奥に進むと水をためておく風呂桶があります。井戸から水を汲んできて風呂桶に水をためて、化粧を落としたり汗を流すのに使用しました。
トイレ
トイレは水洗ではなく昔ながらのスタイルです。
これも当時のまま。見たこともない形式だけどこれが当時としては最新式だったとのこと。
二階の映写室へ
一階を見終わったのでいよいよ二階の映写室へ。ここも普段は立入禁止ですが、特別に許可をもらって見学することができました。
この歪な階段を登って二階へ。階段は木製だけどその上からコンクリートを塗り込んでいとのこと。
館長さん、なかなか画期的なリフォームをされる…。
映写室にはフィルム映写機が2つ。
ニ階からの眺め。改めて上から見てみると結構広いですね。
まとめ-首里劇場は今後どうなるの?
ということで、首里劇場の内覧会へ行ってきました。今後の首里劇場について気になるところですが結論としては現状のままだと取り壊されてしまう可能性が高いです。市や県にも保全を要請していますが、今のところは厳しそうです…。
館長の跡継ぎがおらず権利関係でも不明点が多く、仮に取り壊しを免れたとしても建物が古すぎて修繕費に数億円かかってしまうとのことでした。
建物を取り壊すにしても、せめてそこに首里劇場があったという記録がわかるコミュニティスペース的なものを新しく開設して欲しいですよね。マンションやコインパーキングには絶対にしてほしくない…。
内覧会に参加ご希望の方はこちらまで
72年の歴史を持つ首里劇場。この姿を見られるのはもしかしたらあと数ヶ月しかないかもしれません。
内覧会に参加ご希望の方は、「首里劇場友の会」ホームページ(https://shurigekifans.fakefur.jp)よりご連絡を。不定期開催ですが、受付窓口となています。
また、Twitterアカウント「昔の映画館を懐かしむ会in沖縄」様へ連絡すれば開催日などを教えてもらえます。
戦後沖縄の大衆文化を象徴する最後の映画館「首里劇場」。今後の動向についても追っていきます。